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FairyParadise

略称:FP03 作品形態:
傾向:日常系…?
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あらすじ

花の妖精の体液(蜜)を主食とする氷の妖精。蜜を集める働き蜂のように『花狩り』を行っていたフロストは、辺境の塔で密やかに育てられていた花の古妖精(王族)を発見する。収穫の過程でパンセリノスの体液の味を知ってしまったフロストは、そのあまりの甘美さに彼女を巣へと持ち帰ることを躊躇って……。

言葉の通じない捕食者と被食者のバイオレンスほのぼの交流食レポ物語。

【ネタバレ】 花の古妖精を巣に持ち帰ったところで、その高貴な蜜が自分の口に入ることはない。
群れを裏切りパンセリノスの傍で彼女の蜜を独占することにしたフロスト。しばらくはパンセリノスを傷付けてその体液を啜っていたが、フロストに捕らえられて水を摂取できなくなった彼女は次第に枯れて弱ってしまう。
パンセリノスの生存に水が必要であると気が付いたフロストは彼女を塔の傍の小川へと連れて行こうとするものの、暖かな環境で弱っていたフロストに、ぬるい小川の水は熱湯も等しかった。どうにかパンセリノスを水に浸けたものの、彼の体は融け出してしまう。
水を得て目を覚ましたパンセリノスは、塔の陰で弱り融けかけているフロストを発見する。パンセリノスは逡巡しながらも、彼を近場でもっとも気温の低い塔の地下室へと投げ落とした。
果たして一命を取り留めたフロストと、彼を助けたパンセリノスの、奇妙な共同生活が始まる。

捕食者と被食者でありながら2人の関係が穏やかなものに落ち着いた頃、フロストの上司である妖精アードルフはフロストの捜索を行っていた。皆は真面目なフロストのこと、生きていれば必ず群れに戻るはず。戻らないということはすなわち彼は死んでしまったに違いない。と考えるところ、アードルフは違った。腕の立つ狩人のフロストが、そう簡単に命を落とすはずがない。であれば、フロストは群れを裏切るほどの『何か』を見つけたのだ。
果たして、アードルフ率いる捜索隊は古妖精の塔を発見した。
雪と氷に閉ざされた巣に連れ帰られれば、花の妖精は数ヶ月ともたずに枯れてしまう。パンセリノスを連れて行かせまいと、フロストはパンセリノスに逃げるよう指示し、自分はアードルフと一戦を交える。パンセリノスの蜜を摂取して力を増していたフロストはアードルフと互角に戦ったが、両者とも暖かな環境に弱り、次第に動きが鈍っていく。このままでは2人とも融けて消えてしまう。
そんな時、塔の陰に隠れていたパンセリノスはアードルフに目晦ましの魔法をかけると、フロストを連れてその場から逃げ出した。
被食者が捕食者を連れて逃げるという行動にフロストを含めた氷の妖精は困惑したが、先に自身の命よりも彼女が咲き続けることを願ったのはフロストである。言葉は通じなくとも、その思いやりの感情は確かにパンセリノスに届いていたのだ。
生存圏すら異なる二人が共に生きていくことは簡単なことではないが、きっとこの二人であれば為せるであろう。そんな予感を残して物語の幕は下りる。

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主な登場人物

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