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繋ぎ手(つなぎて)

生まれつき【精霊】を視ることができ、精霊と心を通わせる【人間】。
地域のよっては「色呪(しきじゅ)」「モノ憑き(ものつき)」などとも呼ばれる。
『繋ぎ手のいる世界』では0.0002%程の確率で普通の人間から生まれてくるが、近年では精霊の減少に比例して出生数も減っている。身体に特異な色素を持っていることから、多くの場合は赤子の段階から繋ぎ手か否か判別可能である。

繋ぎ手としての能力には生まれつきの個人差がある。
特異な色素を持っていながら精霊を見ることのできない者は「成り損ない」と呼ばれ、恵まれない境遇に身を置くことが多い。
「成り損ない」以外の繋ぎ手は、次のような特徴を備えている。
・精霊の姿を視ることができ、心を通わせることができる。
・夜目が利き、瞳が暗闇で淡く輝く。
・通常の人間よりも長命で、老化が緩やかな傾向がある。
・生涯に一つの存在しか愛せない。この対象のことを彼らは【唯一】(後述)と呼ぶ。
彼らは大気中を漂う精霊を媒介に周囲の生物の思考を否応なく「察する」ことが可能なため、動植物との深い関係を築くことができる反面、人間とのコミュニケーションを苦手とする繋ぎ手が多い。

精霊と心を通わせる修練を積むことで、繋ぎ手は以下のような神秘を扱えるようになるが、その練度が上がるほど【精霊化】(後述)が進行する。
・精霊の“眼”を借りて、遠くの出来事を視ることができる。
・自己治癒力を活性化させ、自他の傷や病を早く治すことができる。
・ある種の病や傷を、他人から自分へと移すことができる。
・精霊の力を制御し、自然現象を操ることができる。
・精霊の力を利用し、他生物の心を覗き見たり、その精神に干渉できる。

唯一(ゆいいつ)

繋ぎ手が生涯で愛する唯一の存在。動物・植物・鉱物問わず何でも【唯一】になり得る。
繋ぎ手はそれを自らの意思では選べず、出会うまでは何が自分の“唯一”なのか不明であるが、「一目見れば分かる」と伝えられている。
“唯一”に出会うまでは繋ぎ手も人並みに恋愛することも多く、単なる恋愛を「これが自分の“唯一”なのでは」と誤認する者も多いが、“唯一”を知る繋ぎ手であれば「恋愛など児戯。“唯一”は暴力的にただひとつの存在」と口を揃えて語る。ゆえに繋ぎ手は自らの命を“唯一”に捧げ、“唯一”を護るためならば手段など問わない。
なお、繋ぎ手は生きている限り運命によって“唯一”に引き寄せられると言われているが、“唯一”に出会わずに生涯を終える繋ぎ手もいない訳ではない。
また、複数の繋ぎ手が同一の“唯一”を得る例もない訳ではなく、“唯一”となり得る存在は先天的に何らかの素養を持っている可能性がある。しかし“唯一”となり得る存在がすべての繋ぎ手の“唯一”に選ばれる訳でもなく、詳細は不明である。

精霊化(せいれいか)

繋ぎ手はその能力が高まるほど、不可逆な【精霊化】を引き起こす。
自然現象の操作や他生物への精神干渉が可能な繋ぎ手の多くは、精霊化によって次の傾向がみられる。
・感情の希薄化
・私欲や理性などの人間性の喪失
極度に精霊化の進行した繋ぎ手は『肉体を持った精霊』に成り果て、その強大な神秘をただ“唯一”のためだけに行使する存在となるが、これを望む繋ぎ手は精霊化のことを「純化」と呼び、自ら進んで精霊化のための修練を積む。しかし、命あるうちにその次元に至れる繋ぎ手は極めて稀である。
なお、『肉体を破棄する』ことでも精霊化を進めることができるため、力を欲する繋ぎ手は自らの手足を切断することがある。肉体を喪った分だけ精霊化を進行させる荒業であり、うまくすれば頭部のみで生存し強大な神秘を操ることも可能であるが、失敗して死亡する繋ぎ手も少なくない。

繋ぎ手の真実

人間から繋ぎ手が生まれてくる理由は不明であり、『繋ぎ手は古代の民への先祖返りである』という学説や、先天的な脳や遺伝子の障害を疑う学者も多くいるが、結論は出ていない。
しかしてその真実は、『人間』と『精霊』の取り替え子(チェンジリング)である。
本来、人間の魂と呼べる存在で満たされるべきところ(胎児の肉体)に、精霊が宿ることで繋ぎ手が生まれる。この魂と精霊の比率によって繋ぎ手としての最終的な能力値が変わり、精霊の度合いが高いほど繋ぎ手としての能力値は高くなるが、比例して人間らしさも失われる。
精霊が入った分だけ人間の魂は弾き出され、この世界の裏側に堕ちて『妖精』と成る。FP03に登場する妖精たちはこのように生まれた存在であり、これは彼らの多くが人型で、不完全ながら人間のような『社会』を築いている理由でもある。

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