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神獣の一族

神話で語られる神獣の末裔、月の神獣セリニと太陽の神獣ダルネの血を引く一族。

【セリニ一族】【ダールゼーレ一族】を指す言葉。
大陸を二分する王国にそれぞれ擁され、自国を守護し、神話の時代から敵対し合っている一族。
彼らは自国内では現人神として扱われ、思う様振る舞うことが許されており、法律、常識、倫理、その他あらゆる制約を受けず、また「彼らはそういう存在」と一般常識として認知されている。
「神獣の血を引いている云々」の真偽はともかく、この2つの一族が文武に秀でた超人的人材を多く輩出していることは事実であり、彼らは賢く、判断力、身体能力に優れ、強健で、人間であれば命を落とすような大怪我や大病からも生還する。(※寿命自体は80年前後で、一族として生まれても前述の特異性を備えるのは7〜8割程度。)
その高い知性と心身の強靭さゆえ『人間』とは視座が合わず、彼らの多くは人間とのコミュニケーションに難を抱えている。さらに感情を表に出すことは少ないものの気質は非常に好戦的で、合理性と効率性をなにより重視する傾向にあり、通常であれば倫理や常識によって人間が容易には為せないことも平然と行うその姿は、戦時では英雄的に見られ、平時では無機的で残虐非道、残忍酷薄に見られる。ゆえに、休戦中の現在では少なくない人々が彼らを『獣の一族』と揶揄し、畏れ忌避している状況。

それぞれの一族は両国の国境に広大な領地を与えられ、敵対する相手国を牽制・自国を防衛している。
戦時はその好戦的な気質と強靭な肉体で先陣を切って戦い自国を護り、平時は国王の相談役として主に軍事・外交において顧問を務め、その頭脳で幅広く自国を支えている。
王族は彼らの有用性と重要性を正しく認識しているため、国内で彼らがどれだけ傍若無人に振る舞い非道を為そうと、彼らを手厚く保護し、頻繁に婚姻関係を結ぶことで良好な関係を保っている。
国内の貴族は戦時中こそ彼らを英雄として担ぎ上げるものの、平和な世が続くと特権を振りかざす彼らを嫌い、彼らこそ国の癌であるとして排除しようと動き始める。
彼らは王族とその他貴族の内心を理解しているため、国王に従順に従いその保護を受け、他の貴族たちを牽制している。人間とのコミュニケーションが苦手なため「他の貴族たちと仲良くする努力をする」という選択肢は彼らには存在しない。そもそも人間に対する興味自体が薄いため、「自ら国王になる」という野心を抱くこともほとんどない。彼らにとって国王は羊飼い、国民は羊、自分たちは牧羊犬であり、主人から満足な餌と快適な環境の提供さえあれば、わざわざ自分で羊を飼おうなどという面倒は考えないのである。
彼らが望むのはただひとつ、隣国(の敵対一族)に不当に占領されている『一族の大地』の奪還のみ。なお、資源豊かなセリニ側の国に比べ、ダールゼーレ側の国は水源に乏しく土地が痩せており、ゆえにダールゼーレのほうが侵略戦争には積極的である。
※彼ら一族に2〜3割生まれる才覚を継がない人間は、ごく普通に富や権力を求めることもあるものの、特異な一族に囲まれているストレスから精神を病んだり、一族の者に疎まれて暗殺されたりして、早世する者が多い。神獣の才覚を継いでいなくても人間社会では「一族の者」として扱われるが、一族内では爪弾きにされやすい弱者である。

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両国の神話

神々がまだ人の傍に在った頃、空駆ける神獣ダルネとセリニは一人の人間の娘を見初め、彼女を空に召し上げた。しかし娘は来る日も来る日も地上に帰りたいと涙を流し、地上は未曽有の大雨に見舞われる。雨はひと時も止むことがなく、やがて地上のすべてを押し流し始めた。
その天災に困窮した人々の助けを求める声を聞き、神々は空駆ける神獣ダルネとセリニを鎖で捕らえ、天空の檻に閉じ込めると、娘を地上に還してやった。その時、娘は身籠っており、二十四ヶ月にもおよぶ長い妊娠期間を経て、双子の男児を産み落とす。片や黄金のダルネの子、片や漆黒のセリニの子。双子は類いまれな賢智により、人々を助け導いた。
人々が豊かになり、双子が立派な青年に育った頃、神々は双子の兄(※これがダルネの子とセリニの子、どちらを指すかは地方によって異なって伝わる)を祝福し、地上の一切を彼に任せると申された。選ばれなかった双子の片割れはこれに異を唱え、ついにはその手に剣を取り、彼らに従う人々も半分に引き裂かれて争いを始めた。その争いは神々が地上から逃げ出すほどに烈しく、永く、数百年続き、やがて双子の相討ちで幕引きとなる。
大陸はその決戦の地で二分され、それぞれの領土で双子の聖遺骸を口にした(※この箇所は地域によって削られている場合もある)者が王として立ち、以降も大陸の正統な支配権を巡って両国の間では度々戦争が起こり、それは今もなお続いている……。

◆◆◆

空駆ける神獣、漆黒のセリニの子こそ「神々に祝福され地上の支配権を与えられた【兄】である」とするのが、セリニ一族を要する国。空駆ける神獣、黄金のダルネの子こそ「神々に祝福され地上の支配権を与えられた【兄】である」とするのが、ダールゼーレ一族を要する国。どちらの国でも、「今も太陽には神獣ダルネが、月には神獣セリニが囚われている」といったお伽噺を聞くことができる。
この神話で語られている半神の双子の子孫こそがセリニ一族とダールゼーレ一族であり、半神の双子の聖遺骸を口にした、または双子の霊に祝福された人間の王の子孫が現在両国を治めている王族である。

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